JAT〜憧れと得心のYear 2022

JAT〜憧れと得心のYear 2022

梅雨明けからスッキリしない曇天の熱暑日が続く。天気予報と睨めっこするが好天の兆しのみえない中、痺れを切らしてお盆前に山行きを決行。これといって行きたい山もなくどうしたものかと考える内に、昨年ギブアップした後立山連峰を無性に再チャレンジしたくなった。同地を訪れるのは最後に機会なりそうなので毛嫌いしていた大雪渓の白馬岳に登頂すること。意気込みは高いが体力の減退を如実に感じる日々、テントを担いだ今回の山行はどうなるか?After the end of the rainy season, hot cloudy weathers continue. While the weather forecast indicates no signs of turning into good weathers, I, losing my patience, decide to go mountaineering before the Bon festival. I wish to visit Ushiro Tateyama Mountain Range which I gave up last year. Since it is likely my last chance to visit such area, I make up my mind to go to Mt. Shirouma with great snow valley reluctantly to visit in past. Being my enthusiasm in a high profile but now that realizing the decline in my physical strength, what would happen to the overnight tent mountaineering?

日本アルプスへの初見参が白馬岳であった人は少なくないだろう。高峰へ初めて人を案内するのに、好適な山である。大雪渓があり、豊富なお花畑があり、眺望がすこぶるよい。中略。白馬岳は槍ヶ岳と共に北アルプスで最も賑わう山である」日本百名山

確かに、大雪渓、高山植物、と色々楽しめるルートである。又、体力は要求されるが難度が高くないことも槍ヶ岳と双璧をなす人気の要因であろう。
小屋の大きさから判断しても人気が高いことは疑いの余地はない。

Day 1: Departing

問題は現地まで遠いことだ。丸一日かかる。雑念を祓い淡々と走る。
基本的に給油、トイレ休憩以外休まない。

糸魚川経由、8時間かかって目的地の猿倉荘へ到着。

眼前に迫る白馬三山が曇天で全く見えない。暑い!白馬も避暑地ではなくなりましたね。

登山届を提出して直ぐに入山しようとするが、遅いと断られる。避難小屋に泊まろうとの目論見であったのだ。仕方なく、やることもなくバス停側テントで時間を潰す。

6時、早めの晩飯を食う。お決まりのカツ丼。日が暮れると共に就寝に取り掛かる。パラパラと雨が降り始めたのでバイクをテントへ移動。椅子を2つ合わせて異常な態勢で眠りにつく。

猿倉荘とバス停テント

夜半、土砂降りの音を耳の奥の方で聞きつつ寝入る。

4時起床
変な態勢で寝たにもかかわらず思ったより眠れた感じ。だが、爽快感はない。

Day 2: Mt. Shirouma

5時、登り始める。周りは既に明るく懐中電灯は不要。

林道の砂利道を暫く歩いて登山道に入る。

トイレ小屋を過ぎて15分程歩くと、「ようこそ大雪渓へ」大岩が出現、大雪渓入口に到着。


朝飯のソーセージを食いながらアイゼンを装着。4本爪の一番安いアイゼンだ。
ヘルメットは持参せず

装着方法に一瞬悩む。アイゼンの使い勝手がわからず滑って上手く歩けない。意識してザクザクと雪を踏みつけて進んでいく。アドレナリンが出ているのか、疲れを覚えず。2時間程で雪渓上りを終える。

登山道に入る。足場が悪い岩場だ。整備状態は良くない。
避難小屋を通り過ぎる頃、ザックが重く感じはじめ、脚の動きが緩慢になる。始まったな。

避難小屋

お花畑を通り過ぎる。一面に咲き競う花々に俺でも心が洗われる。
大岩に近くで、ひばりと雷鳥の囀り声に励まされる。

休み休み進んでいく。
今まで、ゆっくりではあるが休むことは無く歩いていたのだが。

脚力の限界はとっくに過ぎている。

頂上宿舎が目に入る。段々と大きくなり勇気づけられる。

宿舎が目に入る

もう駄目と何度も思う。
「休み、登る」を繰り返すこと1時間。
頂上宿舎に辿り着く。
コースタイムより1時間長くトータル7時間かかる。

脚、腰に痛みはないが完全にバテた。
暫くじっとしてから、小屋へ赴き、ふらーっと店内を眺めた後、テント場の受付をする。
3千円。富山県に比べて長野県は割高だ!

昼飯のメンチカツパンを食いながらテントを設営。地盤が固くてペグが上手く入らない。不満足の出来だが良しとする。

気楽なポールテント

眺望が悪いので白馬岳登頂は翌朝に持ち越す。時間潰しも兼ねて、杓子岳、白馬鑓ヶ岳ピークハントに出かけるが、馬鹿らしくなって途中で止める。

眺望の優れない白馬岳山頂方面

テント場に戻って時間を潰す。

やることがない時はお決まりで飯を食う。定番のアルファ米とカレー。物足りないのでカレーうどんも食う。不味いが満腹感に満ち足りる。

6時半、就寝につく。

夜中2回トイレで起きる。濃霧だ。
明日は期待できそうだ。気分良く熟睡する。

Day 3: Mt. Shirouma & Hakuba Village

5時前、アミノバイタルを飲み、Day Packを担いで上り始める。途中日の出を拝む。

日の出を少し過ぎた頃合い

明るくなるに従い、眺望の良さに期待が弾む。
振り返ると、劔岳、別山、立山、薬師岳?が目に入る。

後立山連峰

40分程で頂きに立つ。

大展望が待っていました。

視界を遮るものなく、北アルプスほぼ全座が眼に入る。

年配の御仁から山座名の指導を受ける。

右奥から水晶岳、鷲羽岳、緩慢なピークの野口五郎岳、先端が曲がった槍ヶ岳、奥穂高岳、吊り屋根を経て前穂高岳、大天井岳へと繋がる。

眼下に鹿島槍ヶ岳の南と北峰が垣間見れる。相対的に低く、一気に登る意欲を消失する。
その前段に五竜岳、更に前に白馬鑓ヶ岳、杓子岳が広がっている。

右手方向に目を向けると日本海の青い水平線が目を横切る。
郷山の白山は見えないかと目を凝らすと。劔の右上奥にかすかに山影が見える。白山だ!
富士山は雲の隠れて見えない。

日の出後の大展望の絶景を堪能し、宿舎へ下る。

6時下山を始める。

脚はまだ異常を来たしていない。
避難小屋を過ぎた辺りで2度転び両膝を打つ。大した打撃でなく痛みもないが不安な気持ちになる。

歩きが段々と緩慢になる。膝に疲労が溜まって来たようだ。2時間後大雪渓入口に到着。タイムとしては悪くない。

アミノバイタルを飲んで、アイゼンを装着。

歩き始めるが、踏ん張りが効かない。思った以上の脚に荷重がかかっている。
大雪渓を下り始めて30分もすると、明らかにスピードが鈍る。
危惧した通り膝の限界に達したようだ。他の登山客はサクサクと下っていく。

出口が遠い。もうすぐの距離感で幾度も座り込んでしまう。
遂に立てなくなる。見かねた兄ちゃんが、「山に向かって立たないと立てないですよ」、声を掛けてくれる。言う通りにすると確かに立てる。
生まれて初めて「膝が笑う」を経験する。

立ったまま休んで、4、5歩前進の繰り返しで何とか出口に辿り着く。

雪渓下りに2時間強掛かる。

ガスが下りてきて肌寒い大雪渓下り

登山道で速度が回復すると思いきや全く状況は変わらない。

トイレ小屋へ45分、更に御殿場へ45分。
御殿場から15分程度で猿倉へ着くはずが、歩幅が取れず動きが鈍い。長い下りの林道だ!

猿倉荘上の石碑

最後の猿倉荘への登山道の下りが一段と辛い。横向きに下る。

結局20分もかかって猿倉荘へ辿り着く。登りと同タイムで下山を終える。

これまで10 Hour’s Legと呼んでいたが、半分の5 Hour’s Legに脚力が低下。
改めてテントを担いだ山行は無理との認識を再確認する。

当初計画していた鹿島槍ヶ岳の登山は断念するも、大谷原登山口の雰囲気を見に行く。

登山口に小屋があるので野宿は問題なさそう。橋を渡って入口ゲートから登っていくのだが、ゲート奥は暗く雰囲気は良くない。赤岩尾根経由冷池山荘迄6時間との掲示がある。

猿倉荘のガイドによると、急登だが難度は白馬岳登山と同程度との事。

白馬駅に立ち寄る。
堂々とした洒落た駅だが周りの商店街が閑散とし寂しい。

白馬駅

寝床は道の駅白馬。勝手知った場所だ。
イオン系のマーケットで買ったカツ丼とビールで疲れを労い寛ぐ。

Day 4: Matsumoto Town

この地域には二度と来ることはないので松本まで足をのばす。

松本駅はありふれた今風の駅である。

JR松本駅

駅前の信州そば屋に立ち寄り、玉子そばを食べる。
味的にはイマイチ、蕎麦もパサパサしていて腰がない。期待はずれのー品。

駅前の信州そば屋で玉子そばを食べる。
味的にはイマイチ、蕎麦もパサパサしていて腰がない。期待はずれのー品。

国宝松本城が松本訪問の第一の目当て。
木造天守はここと姫路城だけだとか。

目新しい処は月見櫓が天守内にあること。その仕掛けは気に入った。
武将は命の保証がないので生き様が風流なのかも知れない。

天守最上6階から常念岳が見える。

松本訪問の第二の目的は洋食。

観光案内所で昔風の洋食屋を紹介してもらう。

一押しの「おきな堂」で大バンカラカツカレー(大盛チキンカツカレー)を食べたかったが、一番人気のオムライスをチョイス。素材を活かした上品な味付けで、家では絶対食べられない味。
満腹感はないが、値段も割安で満足する。

旧開智学校を観光するが、耐震構造でない故内部拝観できない。外観の写真撮影のみ。

半日の松本観光を終え帰路の途中、道の駅越後市振の関で野宿する。

冷房の効いた観光案内所が夜間も開放されている

Day 5: Returning

新しく開設した石川県立図書館へ立ち寄る。

お目当ての本は貸出中故、ざっと雑誌を閲覧して早々に退館する。

9時開館と共に自習エリアは略埋まる。
大変な混雑ぶりだが、Wifiも使い放題。俺にとっては非常に羨ましい環境。近ければ毎日でも来たい。

無事に戻って来れてほっとする。

4泊5日の夏山行観光の旅路録は以上。

再度の挑戦で己の体力の限界を再認識し得心のいった山行であった。絶景の北アルプスを一望でき、山の醍醐味を堪能、満たされたテント泊でもあった。

本格的に山行を始めてほんの4年と、極めて短い山行歴である。覚悟はしていたものの、思ったより早く到来したのは残念。今後は山小屋を利用した山行となろうが、小屋素泊まり9千円の高値の現況下、登頂したい山が見つけられない事もあり、山行のモチベーションをどうやって維持していくか、今後の課題である。

以上
Seize the Day!

Addendum: Cleanup of Tank & Carburetor

今回の山行中RZ50は絶好調、アイドリング設定も完璧であった。
しかし、冬季は乗らないのでタンク内に錆が発生し、春になるとキャブに異常を来す。
ルーチン化してきたタンクとキャブの洗浄。これ迄何回洗浄をやったことか。

デリカのタンク洗浄に使用した洗浄液の再利用する。

毎度迷うFloat Valveの取付け位置。Floatが大きく揺れないように取付ける事がポイント。

キャブを洗浄すると必ず設定位置をずらしてしまうので、都度再調整が必要となる。

タンク内には依然として錆は残っている。
色変わりではあるが新品の在庫があるのは救い?

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