JAT〜Mountaineering Year 2023

JAT〜Mountaineering Year 2023

以前道に迷って敗退した空木岳はテント泊が余儀なくされるので断念していたが諦めきれない。遂に、体力の低下が著しい昨今、早いうちに再チャレンジすることを決意。手っ取り早く駒ヶ岳ロープウェイを利用して木曽駒ヶ岳から空木岳へ南に縦走する体力の消耗出来るだけ軽減するルートとする。総距離約25km。やれるだけやってみるつもりで望む。Mt. Utsugi, which I had to give up because I lost my way, is difficult to climb because the tent is needed for sleeping outdoors. I cannot give up on Mt. Utsugi and decide to try again as soon as possible, as my physical condition is deteriorating considerably these days. I take the Komagatake ropeway as the quickest and easiest way, and then traverse south from Mt. Kisokomagatake to Mt. Utsugi to reduce physical exhaustion as much as possible. The total distance is about 25 km. I will try to do as much as I can and hope for the best.

木曽駒ヶ岳・空木岳縦走

梅雨明け早々の7月下旬愛車RZ50で出発する。途中地元の名水女生水をペットボトルに汲んでから一路目的地へ向かう。越前街道ー美濃街道ー飛騨街道ー木曽街道ー中山道から一転南下し駒ヶ根菅の台バスセンター向かう。郡上八幡先の自動車専用道路は原付き通行不可なので下道に迂回して下呂温泉を経由する。計11時間も掛かって目的地駒ヶ根菅の台バスセンターに到着。バイクによる長距離移動は登山よりも疲れる。ターミナルのベンチで野宿したが爽快な朝を迎えることができた。

中学校の遠足による混雑緩和の為、始発が早まり6時45分には千畳敷に辿り着く。ロープウエーは10分弱で軽快に駆け上がる。午後雷雨の予報の車内放送に落ち込むが、現地は快晴、秀麗な稜線に気持ちが和む。直ぐに登り始める。

中岳経由木曽駒ヶ岳山頂には2時間程で到着する。何の変哲もない山頂である。

雛が孵り活動期の雷鳥の親子が遊んでいる巻き道経由宝剣岳へ向かう。軽い気持ちで登り始める。期せずしてクサリ岩場に出会い、剱岳以来久しぶりに恐怖を感じる。20分程で山頂に着く。登山者が怖いと喚きながら続々と登頂してくるが山頂は手狭。手っ取り早く記念撮影を終える。

段々と雲行きが怪しくなる。先を急ぐ。秀麗な山容を見せていた三ノ沢分岐を過ごし極楽平に着く頃、ポツポツと雨が降り始める。雨粒が大きくカッパを着込むが本降りに成ることもなく直ぐに止む。

尾根伝いが続く。リックは重く感じるが足取りは未だ確か。極楽平を越えてからはグングンと下っていく。道に迷ったかと不安に思い、何度も振り返るが他に登山道はない。いちゃつく雷鳥のカップルに勇気づけられる。折り返して登り返す。

1時間位で島田娘に着く。更なる瘤越えに辟易しながら更に1時間後濁沢大峰に辿り着く。

鉄の取っ手とクサリの尾根伝いが続く。何個か瘤を越えて意味不明の標識R7を越え、檜尾岳(サギダルノ頭)間近で雨が降り始める。檜尾岳に着く頃本降りとなる。雷も轟き出す。山頂で雷に襲われるのは初めて。居たたまれず檜尾岳の標識を撮ってから小屋へ下る。コースタイムを大幅に上回る2時間掛かる。

ずぶ濡れのまま小屋に入る。主人はストーブに火を入れてくれる。動きを止めると寒いので有り難い。土間でブーツに溜まった雨水を捨て、濡れた衣類を絞りながら雑談する。雨が止んだのを機にテントの設営に取り掛かる。テント場の土壌は上質の砂地で杭打ちは容易い。水場は小屋から更に数分下った処にあり不便。早めに晩飯を食う。食欲なし。夜半も雷豪雨が鳴り響き、安物の1ポールテントが吹き飛ばないか不安に駆られるも何時の間にか失神。隣のテントの物音で目が覚める。3時半。起きる頃合いだ。

早朝は常に快晴。テント場を眼下に睨み、爽快な気分で熊沢岳を見据える。空木岳山頂が間近に見えてくる。幾度も瘤を越え2時間半かけて熊沢岳に至る。緩やかな尾根を下り、空木岳を視野に入れながら、尾根伝いに東川岳を越える。半時間掛けて木曽殿越へ向けて大きく下る。檜尾から計6時間掛けて木曽殿越に着く。

ここで、軽く腹ごしらえ、アミノバイタルで力を補給。靴紐を締め直していざ登り始める。急登。ザックが肩に重くのしかかる。便意を足す憂き目にあう。恥ずかしながら初めての経験。2時間位で第一ピークに直面。頂上間近と思いきや、ここからが大変、クサリ、ハシゴの本格的な岩場が控えている。数メートルに及ぶ垂直の岩場もある。予想していなかった本格的な岩場だけに恐怖を覚える暇もなく無我夢中で格闘する。ザックの重さも気にする暇もない。結果オーライだった為か、思い返せば何とも楽しい岩場越えだった。ただ、上りでなく下りだったらもっと恐怖感は増したであろうと顧みる。

結局、コースタイムの倍の3時間も掛かり山頂に到着。山頂に差し掛かる辺りの大岩を越えた頃、ポツポツと雨が落ち始める。忽ち土砂降り、雷も轟きだす。山頂でただ一人岩陰で濡れネズミになりながら、眼下に駒峰ヒュッテ、南駒ヶ岳を望みながら、雨が止むのを待つ。落雷の恐怖よりも山頂で一人佇む時間を楽しむ。

雨が止んだのを機に駒石方面へ向かって下る。駒峰ヒュッテ手前の道標に沿って空木平避難小屋方面へ右へ曲がる。駒石直行は諦めて小屋へ向かう。距離的には1km程だが沢下りで歩きに難い。雨は止み麓に虹が掛かる。山頂から1時間半も掛かって避難小屋に着く。駒石経由の方が早かったかもしれぬと顧みる。

避難小屋は新しく快適だ。軽く食事を取って直ぐに寝入る。三人ということもあって静か。快眠する。

6時に下山を始める。天気は快晴。縦走を終えた達成感からか気持ちが頗る良い。樹林帯をゆっくりと下っていく。噂に聞く、小地獄、大地獄のクサリやハシゴも膝にダメージを与えないように慎重に下っていく。処しやすい。

以前道に迷ったマネナギに着く。標識が新しい。道に迷う登山者が多かったのだろうか。もう道に迷う人はなくなると安堵する。

段々と蒸してくる。池山小屋分岐を過ぎると直ぐに水場が待っている。大休憩を取る。極端にスピードが落ちる。下山し始めてから4時間。タカウチ場を過ぎてしばらく下ると林道終点になる。下山を始めて5時間半、とうとう着いたかと思うも先は遠かった。最後は近道の案内に従いスキー場をショートカットすれば菅の台バス停は目の前。何と下山に7時間半も掛かる。

夕暮れ時になって帰宅するのは無理。道の駅で一泊する。一先ず勝手知った道の駅日義へ向かうが、途中ゲリラ豪雨に襲われる。ずぶ濡れになりながら道の駅で雨宿り。一旦止んだので次の道の駅へ移動。ここで気持ちが萎えて道の駅木曽福島を寝床とする。長距離トラックのエンジン音が喧しくて寝れない。微睡む程度の仮眠。朝5時に移動を開始。

昼飯には日本一の栄誉を数度獲得したた和良の鮎の塩焼きを食べようと目論んでいたが、1500円もするので諦める。好物の福井のおろし蕎麦に代え、道の駅九頭竜で特製そば(2玉800円)を食する。おろしの辛さは弱く味が緩慢でイマイチ。矢張り三国の新保屋のおろしが一番の好みだ。

腹一杯になって一路帰路へ。永平寺鮎街道を走行中鮎の露天を見かける。値頃が価格(800円)に惹かれるが、10月迄営業中な事あって次回食する事にする。自宅までもう一息、走りに集中。丸一日掛かって無事帰宅する。

別山

39度猛暑予報の発出を受けて急遽山に退避することにする。先の縦走の疲れが残っているので遠出する気にならない。何時かは登りたいと思っていた白山の別山へ逃れる。チブリ(千振)尾根経由別山に登頂後南竜テント場で野営、翌日白山大汝峰を経て別当出会に下る道程とする。可也キツいルートだが、先の木曽駒ー空木ルートに比べては容易いと判断。

朝5時RZ50で出発。慣れた道なので7時半には登り始める。乗っけから道を間違る。1時間ほど歩くも猿壁登山口が見つからないのでおかしいと判断、途中で折返す。大分戻った処で舗装道路の脇道を発見する。結局1時間ロスする。

一旦登山道に入ると、かなり整備された登山道で足を上げる歩幅も俺にちょうど合っている。他に登山者は居ないのでゆっくり自分のペースで登っていく。標識に安堵、若しくは落胆しながらも徐々に高度を上げていく。避難小屋までの距離が中々縮まらない。

避難小屋迄2km程に迫った処で登山客が数人下山してくるのに出会う。一様にAmicableな顔つきでなく軽く挨拶を交わすに留める。

上は風が騒がしいと気づいていたが、稜線に出てみると想像以上の強風に驚く。強風に煽られ座って待機することも度々。何とかして小屋に向かう。結局、5時間も掛けて小屋に着く。

小屋ではヒューヒューと強風が吹いている。立っていられない。初めて強風の恐ろしさを知る。

小屋には三人の登山者が登頂待機中であった。強風で登頂を諦めて早めに下山したものが数人居ると聞き及ぶ。途中出会った登山者達に思いをはせる。

小屋には水場はなく困る。外壁に備え付きのタンクは清掃用の雨水を貯蔵してある。先ず腐っていないか確認する。無味無臭で水道水よりはマシ。俺は生で大量に飲んでも異常なかった。

夜半になるも風は一向に収まる気配はなくトタン屋根が捲れないか気がかりの状態でうつらうつら。

明け方になっても強風は止まない。日の出を目指して登頂する御仁らはキッパリと諦めて、4時半頃から下山を始める始末。5時頃風の音が少し弱まったかなと感じた頃、一人が登頂へ出発。ズブの素人の俺はもう少し状況を見極め、ダメ元の覚悟で6時歩き始める。

風が徐々におさまる気配を感じる。御舎利山頂上近い稜線に出る頃には大分おさまる。山頂に上がるのも比較的容易い。

別山はひどく穏やか。山頂は先客で賑わっている。

アルプス大展望が広がっている。台風一過の如く絶景の天空が迎えてくれる。

定番のメンチカツパンを食いながら抜群の景観の感激に浸る。
地元のベテラン登山者に山容の名称を教示してもらう。

アルプス大展望に至極満足して、南竜経由大汝峰登頂は次回に持ち越し、ピストン下山する。

簡易ザックを背負った別山往復タイムは3時間半、避難小屋からの下山タイムは3時間半。今の俺ではこんなもんであろう。

山行を終えて

土砂降りの雨、落雷の危機に見舞われた木曽駒ヶ岳・空木岳縦走(25km)
大風に悩まされ予定を変更せざるを得なかった別山登山(16km)。

想像しなかった初体験に襲われた山行であったが、結果オーライ故、貴重な経験でもある。

雨・雪が降ろうと実施してきた10ヶ月に及ぶ早朝散歩のお陰か膝はもってくれ歩き抜くことができた。叉、別山ではアルプス一望の最高の眺望に迎えられた。昨年晴天の星空の夜下山を余儀なくされた苦い経験のリベンジを果たした事になろうか。

濡れた衣類のまま寝袋に入って寝たが、身につけた化繊の衣類を自体温で乾かすことができる。これも貴重な発見。ザック、登山靴は濡れた状態であるが、日中乾くので助かる。

RZ50は相変わらず絶好調。一番の懸念のミッションも全く異常なし。燃費もリッター25km以上と好調。バイク走行が難儀になったら四躯に乗り換えようと考えているが、山行を断念する機会とも思い始めているこの頃。

自信を取り戻した今回の山行、来年はこれまで数度近くまで行くも躊躇した鹿島槍ヶ岳かな。
今年の山行はこれにて終わりとします。

以上

補遺

別山からの遠望

ガス缶充填アダプタ

被充填缶(下側)と充填缶にアダプタを差し込み直下に押さえつけて充填する。シューッと言う音をたてて充填されていく。

Comments are closed.