Analog Audio Revival~Yamaha C-2X
都会的な垢ぬけたスタイルに引かれて何時か手に入れたいと機会を狙っていたが高値の花だった。そんな折、オークションに出品されていた要修理品をつい遊び心で手を出してしまった。それも2台!一年ぶりのオーディオ更新、プリアンプ編をお届けします。
アナログオーディオの原理が段々分かってきてから気づいたのですが、このプリアンプはデスクリートではなくオペアンプ仕様なんですね。マニアにとっては好みの分かれるところではないでしょうか。そのためか、音質はクリアなもののドンシャリぽく聞こえるのですが、皆さんは如何思われますか?確かに噂通りMCヘッドアンプは秀悦ですね。
要修理品の内、一台はトランスの断線。外見が極上品だった為、不動品としてはお値段は高めでした。実際に内部を開けてみると基盤も非常にきれいで使用感の少ないものでした。
もう一台はフォノが聞けないという代物。外見もそれなりの程度との品書きでしたが、受け取って見ると美品の部類にだったので大分お安く入手したことになります。
それにしてもこれ程デザインに凝った内部は見た事ありません。芸術品と間違うほど。
コンデンサーはNichicon、Soshinの特注品・高級品です。このNichiconコンデンサーは容量の割にサイズがでかいですね。どんな構造になっているのでしょうか?
以下、レストア記です。
一台目:トランスの断線
トランスをチェックしてみたところ故障の原因はダイオード破損によるものでした。ヤマハに確認しても在庫はないということだったので、見様見真似で生きているトランスの稼動電圧・電流を測定し、飛んだトランスの仕様を推定しました。片方は生存と判明。片方は少し容量が大きいようですね。
断線したトランス
秋葉で1000円程で似たようなトランスがあったので試しに買って換装してみた処、難なく稼動。ケースに入らなかったので開けたまま鳴らしていたが、格好がわるいので取り替えようという気になり、秋葉原を探し回った挙句、ヒロセテクニカルでケースにおさまる特注トランスを調達してくれる事が判明。納期1ヶ月、2個で約1.5万円もしました。早速注文。
多少ケースに穴をあける程度の加工で難なく換装できました。当時歪とか難しい技術的なことは分かりませんでしたが、余りに簡単に直り吃驚でした。
特注品のトランスをケースに組み込んだ処
配線コードが細いのが気がかり。ノイズ軽減のためケースに銅箔を貼ってあります。 気休めですがね。
実は極上品の一台目を純正仕様にする為に二台目の純正トランスと交換してあります。
二台目:フォノ故障
このアンプのMCヘッド回路は片チャンネルあたりPNP、NPN各4個パラレル構成で、両チャンネルで16個のローノイズなローム製トランジスタを使用していますが、既にデスコンで入手は難しくなりましたね。蛇足ですが、イコライザーアンプにはヤマハお決まりのFET 2SK146が使われています。これも入手は困難。
ざっと見たところ不具合は発見されなかったので、トランジスタのhfeを簡易に計測しました。これも問題なかったので半田をやり直しました。基盤洗浄後の写真です。
ついでにフォノセレクターも洗浄
でも全く改善されません。ノイズが発生して聞けないという症状ではなくて全然音が出ないという状況だったので、ふと思って電圧を測ってみると何と+20vが出ていないことが判明。
改めて回路をじっくり眺めると、ありました。断線です。腐食?かな。
抵抗R443と電源部分のダイオードD439の間のパターンが切れていました。
パターン図ではここになります。
銅線と半田で補修
念の為に周辺の抵抗(R443、R439、R444、R440、R446 )を新品に取り換えておきました。正常な電圧が出るようになりました。
DCオフセット調整
DCオフセットの調整をします。測定ポイントは2箇所。アース端子は基盤にあります。
- MCヘッドアンプ
端子TP-1/2とアース間の電圧が0±100mV内に収まるように半固定抵抗(VR103/104)を調整します。
左チャンネル
右チャンネル
- プリアンプ出力
出力電圧が0±10mV内に収まっているかどうか確認する。その際、入力をショートさせておくことを忘れずに。
右チャンネル
調整は完璧。
それにしても2台も保有してどうするんでしょうかね。
俺が死んだらバカ息子が叩き売りだろうなあ。まあいいか。
極上品は15万以上、トランス換装品は8万以上なら上首尾だ。Updated @ 2016年5月
以上